◎金属探知機器あれこれ(2)

◇◇◇最新探査技術◇◇◇

 埋蔵金探しといえばいまだに“スコップ持って穴掘り”なんて思ってはいないでしょうか? 確かにある面そういったイメージを持っていていただいた方が何かと“好都合”なのは事実なのですが…!?

 ま、それはともかく、科学技術の進歩、さらに元をたどると最新兵器技術からのスピンアウトで探査機器の開発スピードはとてつもなく速くなっています。土 木工事に入る前に地下の構造を事前に探査したり、はたまた鉱物資源や温泉を掘らずに発見したり、と地中の様子がまさに手に取るように分かるような機器が続 々開発されてきているのです。で、埋蔵金探しも同じこと。地中の“異物”を調べることには変わりないので、それらの探査機器を流用させてもらっているとい うのが最近のトレンド(!?)です。

 したがって現在の埋蔵金探査のスタイルは一見土木工事現場の調査作業とまったく変わらないといっても良いでしょう。自分たちで機器を扱えるレベルはとう に超えてしまっているので、探査を専門に請け負う業者さんに依頼するというカタチになっています。要は目的が違うだけでやることは一緒なのですから。とい うことで、どれくらいの精度で、はたまたどれくらいの深度で、どれくらいの広さで、等々全て予算次第というわけです。

 ちょっと夢のない話になってきてしまったので探査技術そのものの話題に戻ると、現在主流となっているのは超音波を使うもの、電磁波を使うもの、電気を使うもの、放射線を使うもの、そして地震波を使うもの、などが一般的です。この他にもまだまだありますが、身近な産業用にまでは降りて来いていない“最新兵器”レベルの技術なので、そこら辺の話題はまたの機会に…。             

 対象物を非破壊で手軽に調査診断が出来るため、建築業界ではごくごく日常的に使われるようになってきた超音波を利用した探査方法。超音波を発射し反射し て戻ってくる様子からトンネルや橋脚などのひび割れの深さやコンクリートそのものの厚さなどを測定。また内部の空洞などの欠陥を検出するのにも利用されて います。コンクリートだけでなく鋼材などにも利用でき、厚さの測定、劣化度の診断などがおこなれています。均質な物体の中の異質な存在、というようなハッ キリとした対象にはとても効果的ですが、地下構造のようにもともと不均質な条件では微妙な探査は難しいというのが現状でしょうか。それでもハンディタイプ のディテクターを使うことを考えれば精度は段違い。さすが業務用、のレベルではあります。                

 こちらは電磁波を利用して建造物内の鋼材位置の調査や内部の空洞などの欠陥の有無、地中の構造物等を検出するシステム。超音波同様、発射した電磁波の反射状況の違いによって被検出物内部の構造を知る仕組みです。                


○地中レーダーによる探査

 電磁波を利用した探査機の中でも地下構造の探査に特化したものは特に地中レーダー(GPR:Ground Penetrating Radar)と呼ばれ、地下の空洞や埋設物探査に使われています。
 送信機で発生させた電磁波をアンテナから地中に放射し、地中からの反射を受信アンテナで捕らえ、受信機で記録、そして解析機で分析するというシステム。 埋蔵物などの存在により地中構造に物理的変化をきたしている境界部分では他の部分とは異なる特殊な反射となり、この反射状況を計測、解析することで地中の 状況を知ることが出来ます。大規模なものでは車両そのものが地中レーダー機能を搭載した探査専用車両となっており、アンテナ等をセットするだけで手早く探 査が出来るように開発されたものまで存在しています。
 当然ながら電磁波が強ければ強いほど深度まで探索できるわけなのですが、ただ闇雲に強くしていくわけにはいかない事情があります。それは電波法という法 律の存在で、地中レーダーも電磁波を利用しているため電波法の制限を受けることになります。具体的には40Vpp以下の出力でなければならないとされてい るのです。
 この程度の出力ですから地下2~3mの深度ですら反射波は非常に微弱なものとしてしか戻ってきません。それをカバーする技術が各メーカーの腕の見せ所 で、深度に合わせて出力を微妙にコントロールしたり(埋設管など事前に深度がある程度分かっている場合はその深度に合わせて出力を落としたり)、さらに深 い所を目標とする場合はその深度からの反射のみを特に増幅するようにしたりと様々なテクニックが使われています。
 また、土中に水分が多く含まれる地層などでは電磁波の減衰が激しく探査能力が著しく低下してしまうなど、オペレーターの経験や技術に頼る部分も多いといわれています。                

○地中レーダーの構造

 スキャン用発振器で探査に利用する電磁波を作り出し、コントローラで必要な出力に微調整、そしてパルス生成回路でパルス信号の形にして電磁波を送信アンテナから地中へ発射します。
 地中内部で反射、屈折して戻ってきた電磁波は受信アンテナで拾われ、コントローラからのサンプリング波と合わせて増幅器に。さらに解析器に渡されデータ 化されて出力されます。基本的にはラジオなど電波を扱う機器とほとんど同じ原理の回路です。ただ違うのは電磁波が伝わるのが空気中ではなく地中という点。 またパルス信号として送るのは、あくまで反射波の特徴を際立たせるためで、流しっぱなしの放送などとは若干異なっています。使用する電磁波はVHF帯がメ インです。
 電磁波の反射現象そのものは、地中の物質(土や岩石などで“媒質”と呼ばれる)の中で比誘電率が異なる部分が存在することで起こります。反射パルスが極 端に強く表示されるときは、地中の比誘電率、密度が急激に変化している、つまりは周りの土質とは違う物質(コンクリートの管や何らかの構造物など)が存在 していることを示しています。また、電磁波が戻ってくるまでの時間の長短は、反射した地点までの深さを示すことになり、推定される比誘電率を元に探索地点 の地中の電磁波の伝播速度を計算すれば深度が測定できる、ということになるのです。                


○CSAMT探査

 CSAMT(Controlled Source Audio-frequency Magneto-telluric)探査法は、音声周波数帯と呼ばれる周波数の電波を用いた電磁探査法の一種。VHF(Very High Frequency)帯を使用する地中レーダーと基本原理は同じで、電場と磁場の強度を測定して、地中の比誘電率を調べることで地下の構造を推測する方法 です。
 地中に1KHz程度(ELF帯)の周波数の電磁波を流し、発生した電場と磁場の強度比から地下の比誘電率を得ます。比誘電率の値から地下構造を推定する のは以下で紹介する電気探査と同様(電気探査では比抵抗と呼びます)ですが、CSAMT探査法の方がより深部まで探査することが可能で、また電気探査のよ うに大がかりなプローブ(電極)や電線を設置する手間が必要ないことから作業効率の面では優れているといえます。高い周波数帯を利用する場合は浅層部、透 過率の良い低い周波数の場合は深部の探査、と対象に合わせて周波数帯の切り替えも行っています。実際の作業現場では1,000~1,500mの長さのアン テナ線を使用、5~10km程度の距離をとって受信機器を設置、比誘電率を測定するというのが一般的です。                


○VLF探査

 VLF(Very Low Frequency)帯の周波数(3~30kHz)、ミリアメートル波(波長10~100km)は、水中での伝播特性に優れ、減衰も少ないという特徴を 持っています。電磁波と音波の違いはありますが、クジラの鳴き声が何100kmも海中を伝わるといわれる秘密もこの周波数帯だったからこそなのです。で、 その長距離を伝わるという周波数帯の特徴をいかして潜水艦の航法を支援するためVLF発信局網が作られました。地球のほぼ全域をカバーできるように世界中 に10個所設置され、各発信局にはそれぞれ固有のコード名と周波数が割り当てられています。日本には宮崎県にJJI局(22.2kHz)があり、ハワイの NPM局(23.4kHz)やオーストラリアのNWC局(19.8kHz)も受信可能です。ちなみに話が横道それますが、実はこのVLF局の整備は船舶の 航行支援の目的もあったのですが、こちらはもっと簡単で精度の高いGPSシステムの登場、普及により取って代わられてしまったという経緯もあります。
 VLF探査に話を戻すと、この探査方法はこれらVLF発信局からの電波を借用して地下の構造を探ろうというシステムなのです。衛星からの電波を利用させ てもらい正確な緯度経度を得るGPSのように、VLF局からの電波を使用させてもらうことで、自ら強力な発信装置を用意する必要が無くなり、小型軽量の測 定装置のみで探査できてしまうという、とてもユニークな特徴を持っています。ただし現在の技術レベルでは探査深度が数10m程度まで、というネックがある といわれています。探索範囲の地下に周りの地層とは異なる電導性を持った物体があるとそこに二次的な電磁場が誘導され、送信波による一次場とは異なる方向 位相をもった電磁場の歪みとして捉えられます。この歪みの有無を連続して測定することで地中の状態を推定できるというシステムです。

■電気による探査(比抵抗法)■
 電気を使った探査方法“電気探査”は、その名の通り地面に打ち込んだ電極から地下に電気を直接流すことにより、地下の電気的な性状を調べ、それを元に地 質状況などを推定する物理探査方法です。実際の測定では一対の電流電極と、もう一対の電位電極を組み合わせて使用します。これらの電極の間隔次第で、浅い ところから深部の地下まで探索範囲を変えることができます。ちなみに探査深度は、電極間隔の最大展開長の1/3~1/5程度といわれています。
 電気を流すことでどうして地下の様子が分かるかというと、地下の物質、土や岩石などは電気的には“抵抗”とみなせるのです。電気的抵抗であることからそ れぞれに固有の値を持ち、それは電気を流す探索範囲の長さや断面積によって異なります。で、その抵抗の大きさを断面積1平方メートル、長さ1メートルの単 位に換算したときの値をその物質の“比抵抗”と呼んでいます。水分を多く含んだ土地や金属を含む鉱床などは電気を通しやすいので比抵抗は小さく、逆に砂地 や花崗岩などを多く含んだ土地は比抵抗が大きくなります。ただこれだけでは地中の伝導率が分かるだけで、構造までは分からないですね。そこで測定方法を工 夫することで地下の電気的な特性を立体的に分析できるようにしているのです。

○垂直探査法と水平探査法
 電気を地面に流すことにより地中の比抵抗値が得られる、というのは分かったと思いますが、では、それをどのように応用するか、が探査機器メーカーの腕の 見せ所となっています。一般的な電気探査の場合は垂直探査法と水平探査法を組み合わせて地下の立体構造を再現しています。垂直探査は基本測点を中心にし て、両側へ順次電極間隔を広げて測定していくことにより、水平方向の地下層構造を調べることができます。一方、水平探査法は一定の電極間隔を保ったまま、 一定のピッチで基本測点そっくりそのまま水平方向に移動させて測定します。こちらは地下の垂直方向の構造変化がつかめるのです。
 これら垂直探査と水平探査を組み合わせた手法を高密度電気探査法とも呼んでいます。実際の地下構造は不均質なところのほうが一般的で、比抵抗は垂直方向 にも、水平方向にも変化しているのが当たり前。したがって、垂直探査と水平探査とを組み合わせる高密度電気探査法で探査行うのが主流となってきています。            

■ガンマ線スペクトル探査■
 放射性核種(放射能をもつ同位元素。放射性同位元素とも言う。天然に存在するカリは原子量39のK39、原子量40のK40、原子量41のK41の3種 類がありますが、このうちK39とK41は放射能をもたないので安定核種と呼ばれますが、K40は放射能を持つので放射性核種といわれています)であるカ リウムK40、タリウムTl208、ビスマスBi214などが放射壊変(不安定な原子核=放射性同位体が様々な相互作用によって状態を変化させる現象)の 際に放出するガンマ線(ガンマ崩壊:崩壊した直後の原子核には過剰なエネルギーが残存するため、電磁波=ガンマ線を放つことにより安定化を目指す)を利用 して探査する方法。ガンマ線の存在を対象範囲の地表で測定し、その線量により地下の岩盤の亀裂や地下の状態を推定する放射能探査の一手法です。
 ウラン系列やトリウム系列の初期に位置するウランやトリウムは、地下深部に埋蔵され直接探査に利用することは困難ですが、それらがラドンの段階まで壊変 が進むと、ラドンは気体であるため岩盤中の水に溶け、岩盤中の亀裂を通って地表まで到達するようになります。ガンマ線スペクトル探査では、識別するのが難 しいといわれるラドンのガンマ線を直接測るのではなく、ラドンの孫核種であるTl208やBi214を測定に利用しています。またカリウムは一般に表層の 堆積物に多く含まれているので堆積物中に含まれるTl208やBi214の影響を除去するため、堆積層のガンマ線を代表するK40も同時に測定し精度を高 めています。システムとしては単独で探査できる携帯型の機器から、ヘリコプターに搭載して広範囲に鉱脈を探査する機器などまで様々なシステムが開発されて きています。
               
■反射法地震探査■
               
 反射法地震探査は、地表で人工的に振動(弾性波)を発生させ、その振動が地層境界面(埋蔵物の存在や地層の違いなどの原因により組成や密度が変化している面)で反射して地表へ戻ってくる反射波をキャッチして解析することにより、地下の構造状態を把握する探査方法です。
 人工的に振動を発生させるための装置としてはインパルス型と呼ばれる大型の重りによる地面打撃やダイナマイトなどの爆発物による振動を利用するタイプ、 制御型と呼ばれる起震車、バイブレータを利用するタイプが存在します。要は必要な大きさ、振幅の振動が得られればOKなのです。反射波をキャッチする受信 器は“ジオフォン”と呼ばれる小型の地震計が利用されています。現在は操作が簡単で環境問題に厳しい都市部でも使いやすいバイブレータ型が主流となってき ており、振動発生器の中に取り付けられた錘が上下運動をすることにより一定のパターンの振動を地中に送り込み、その反射波を捉えることで地中構造を探査し ています。
 また、発生させる地震波の違いによりP波(縦波)とS波(横波)があり、それぞれP波反射法探査、S波反射法探査と分類されます。P波反射法探査 (1km近くの深度まで可能になってきた)ではその地域の大まかな地質の構成や断層の有無などが調べられ、その後さらに高い分解能をもつS波反射法探査 (こちらは浅い層を詳細に調べるのに適している)を併用することにより、より詳しい地層の構造をとらえる、という手法がとられているのです。
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 以上ざっと駆け足で身近な探査技術のいくつかを紹介してきましたが、文章だけでは分かりにくかった面もあるのではないでしょうか。で、それぞれの探査方 法を下のGoogle窓で(Internetから検索の方にチェックを入れて)検索をかけてみてください。各方式を採用している探査業者のページに簡単に たどり着けるはずです。そしてほとんどのメーカーが自社の技術を分かりやすいように説明する図などを掲載していますので、それをご覧になればより探査の仕 組みが理解できるようになるはずです。